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科学班の恋【D.Gray-man】

第63章 葛藤と決断



南がノアに襲われたのは、明確な事実。
そんな南を守る為の行為と思えば、不思議じゃない。
だがそんな神田にどこか違和感が僅かにあって、その正体が今日明確にわかった。






"触れたら殴るっつっただろ"

"おま…っまだそれ有言実行中なのかよ…!"






神田が南を守ってるのは、ノアからだけじゃない。
恐らく俺達も含め周りの人間全員だ。



「いいってお前な…其処にずっといるつもりかよ」

「だったら悪いか」

「…いや…悪かねぇけどよ…なんか、こう…南に会うの邪魔されてる感じがするんだが」

「あいつは寝てるって言ってんだろ。邪魔するな」

「…やっぱりどこぞの護衛だな、お前」



ジジの言う通りだ。
神田は俺達からも南を守ってる。
昼間、ジジが南に触れようとした時も。
俺が、列車内で南に触れようとした時も。
南がそれに気付いているかわからないが、神田がジジを殴った時それを咎めたりはしていなかった。
神田と相部屋になることだって、自分から納得して受け入れていた。

…神田と何か、やっぱりあったんだろうな。



そう思うと、どこか心がもやもやとする。



これは…ラビが南のことを異性として見ていると、知った時と同じだ。



「はぁ…ったく、しゃあねぇなぁ」

「わかった。じゃあ飯はテイクアウトできる分は取ってくる。南が後で腹を空かせたら必要だろ」

「…ああ」



頷く神田を確認して、それ以上突っ込ませないようにジジの肩を軽く叩いた。

普段他人に固執しない神田だから、きっとその分思いは強い。
恐らく其処から動くことはないだろう。
エクソシストとして実力のある神田だから、南を守ってくれてるならあり難いことだと思う。

…俺の力じゃ、南をノアから守ることはできないから。



「………」



昨夜だって、神田がいなかったら南はどうなっていたか。
もしかしたらあのままノアに───…

そう僅かに考えただけで、自分の体温がひやりと下がるような気がした。






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