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科学班の恋【D.Gray-man】

第60章 隠れんぼ



「このまま南を連れ去れば、ボクの勝ちだったのにぃ」



ぱっちりとした睫の長い猫目が私に向く。
金色の、あの泣き黒子のノアと同じ色の目が。
肌の色も出会った時のような薄い色じゃなく、浅黒いものへと変わっていた。
額に十字架のような聖痕も示すその姿は、ノアの一族だということを明白に表していた。



「上手く化けてたつもりだったのになぁ」



連れ去るって…何をする気だったんだろう。
疑問に思ったけど、どうにも嫌な予感しかしないから聞くのは止めた。



「人間にしてはやるね、キミ」

「そういうお前も人間なんだろ」



クスリと笑うロードに、リーバー班長は険しい顔のまま。



「そうだけど。でもキミみたいに弱い人間じゃないから、一緒にしないで欲しいなぁ」



笑ってるけど無情な冷たさを感じるロードの言葉に、班長は更に顔を顰めた。



「そのよわいにんげんにバレたんだから、かくれんぼはわたしたちのかちでしょ…っ」

「あれ?いつからチーム戦になったの?」

「あのへんたいロリコンがさんかしてるじてんで、こじんせんじゃなくなってるからッ!」


「うわ、酷い言い草」



ビシッと泣き黒子のノアを指差せば、神田と対峙しながらもその目はこっちに向いた。
酷いも何も、本当のことしか言ってません。



「う~ん…確かに南の言う通りかもね。ティッキー、傍にいたなら教えてよぉ。黙って隠れてるから、こんなことになっちゃったんだよ」

「その手当たり次第に悪戯仕掛ける癖止めたら、隠れずにいてやるよ」



頬を膨らませて文句を言うロードに、呆れ顔で"ティッキー"と呼ばれたノアが溜息をつく。



「むぅ~…わかった。今回は南の勝ちでいいよ。"鬼"もやられちゃったし」



暫く不服そうにはしていたものの。
小さな溜息をつくと、ロードは私の体をすとんとその場に下ろしてくれた。
あまりにも呆気無くて怪しくも見えたけど、とりあえず解放されてほっとする。

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