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科学班の恋【D.Gray-man】

第60章 隠れんぼ



「ジジとは昔からの付き合いだ。あいつの腕前は誰よりも評価してる。…そのゴーレムは誤作動なんかしてない」



ジジさんの手に握られたゴーレムは、未だその掌の中でけたたましく鳴り響いている。



「そいつが反応するのは、甘い匂いにだけだ。…なんで南以上に、その匂いを染み込ませてるんだよ」



班長のその言葉で、改めて気付いた。
私を抱きかかえてくれているジジさんの腕から、ほんのりと香る甘い匂い。
それはキャンディのような、甘い匂いを漂わせていた。



「お…おい、リーバー。言ってる意味がさっぱりなんだが…っ」

「…なら教えてやる。ジジはアジア支部のズゥ老師の下で働いてる奴だ。神田の六幻のことも、ジジ経由でよく頼んでる」



え、そうだったの?
知らなかった。



「そんなイノセンスの扱い方をちゃんと知ってる奴が、六幻を"刀"呼ばわりなんてする訳ねぇだろ」



刀呼ばわり?
…いつしたんだろう、全く気付かなかった。
班長の洞察力の凄さは知っていたけど、こんな状態でそんな些細なことに目を止められるなんて。

目を丸くするジジさんと共に、私も驚きを隠せなかった。



「もう一度しか言わない。南を放せ」



低い声で、静かに班長が催促する。
思わずその腕の中から、ジジさんを見上げる。
いつもと変わらない、眼鏡に無精髭のジジさんの顔。
それは真っ直ぐに班長を見返したまま。










「まさかキミにバレちゃうなんてね~」










不意に肩を竦めて、その口から甲高い声を漏らした。
聞き覚えがある。
どこか語尾が緩い、少女特有の高い声。



「ざぁ~んねん★」



そう笑ったジジさんの姿が、ぐにゃりと歪む。
その歪み方は、さっき神田が空間に隙間を開けたものと一緒だった。

ぐにゃぐにゃと歪む体は、私を抱いたまま。
やがて小さな少女へと姿を変えた。



「ロード…っ?」



短髪ショートの、あの少女へと。

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