第59章 大人の遊び
「ぃゃ…ッ」
「大丈夫。すぐヨクなるから」
太腿を撫でる指が、短パンの隙間に入り込んでくる。
足の付け根に伸びるその感触に、体が震える。
抗えない存在に、体を好きに弄ばれる絶望感。
"任務中はユウの傍にいろよ?"
そんな中、不意に浮かんだのはラビの顔だった。
"世の中、可笑しな奴多いから"
任務に出る前に忠告してきた、ラビの言葉を思い出す。
体が縮んでから、教団内ではよく子供扱いをされた。
リナリーは楽しそうに着せ替え人形にしてくるし、アレンは階段の至る所で手を引いてくれたし。
科学班の皆なんか、面白がって頻繁に子供の私をネタにした。
元から科学班で女性扱いされることはあまりなかったけど、"子供"というオプションがついて更にそんな扱いはされなくなった。
だからなのか、そんな心配は一切私の中にはなかった。
こんな子供の体を性欲の対象として見る人がいるなんて、どこか浮世離れしていて現実味もなかったから。
"オレだけだったら、嬉しいんだけど"
そんな物好きはラビだけだと否定した私に、愛情ある笑顔で返したラビが頭から離れない。
ラビは私のことを心配してくれていたのに。
もっとちゃんと、その言葉を心に止めておけばよかった。
「…っ」
ちゃんと真面目に聞かなかったから、こんな罰が当たったのかな。
「……ラビ…」
「ん?何か言った?」
無意識にその名が、小さな音となって零れ落ちる。
どんなに呼んだって、遠く離れた教団にいるラビには届くはずもないのに。
今ここで縋ったって、どうしようもないのに。
デンケ村で、クロル君の思念に呑まれそうになった私を助けてくれた。
あの時のラビの姿が頭から離れない。
"寧ろピンチに駆け付けるヒーローみたいで、格好良かっただろ"
本当に格好良かったんだよ。
スマートに助けてくれなくたって、素敵な言葉を口にしなくたって。
必死で私を捜して助け出してくれた。
そんな姿に目が離せなくなるくらい、本当に格好良かった。
本当に私のヒーローだった。
「──…」
…助けて、ラビ。
ゴチンッ!
「ッ!?」
それは突然だった。