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科学班の恋【D.Gray-man】

第59章 大人の遊び



「ったく…しゃあねぇな」



暴れる私を見下ろして、面倒臭そうに溜息をついたそのノアは徐に掴んでいた顎の手の力を強めた。

痛…っ!



「んぅッ」



口を塞ぐ、柔らかい何か。
見開く目に映ったのは、真っ黒なうねる癖っ毛。






"南が悪いんだからな"






フラッシュバックのように、頭に廻ったのはあの教団での夜のこと。
深夜に訪れた、ラビの部屋での出来事。






"…そうやって、茶化すから"






ベッドに横たわって見上げた先にあったのは、見下ろすラビの顔。
見開く視界の端近くにその赤い髪が映り込んだ時には、ラビに口を塞がれていた。
あの時と同じ。



「…っン、んん…!」



…違う。



「んんーッ!!」



全然違う。
あの時と一緒なんかじゃない。



驚いたけど。
思わず怖がってしまったけど。
ラビのあの行動に、こんなにも不快さを感じたりはしなかった。

ラビとこんなノアが、同じなはずがない。



こんなの───…!






ガリッ






「──ッ!」



塞がれていた唇が離れる。



「っは…ッはぁ…っ!」



解放された口に、慌てて息を吸い込む。
必死で見上げた顔を睨み付ければ、その口元からじわりと赤色が滲むのが見えた。



「いって……案外、過激だね」



思いっきり噛み付いた唇から血を滲ませながら、それでもノアは大して気にした様子もなく笑う。



「でもまぁ、抵抗されたらされたで虐め甲斐はあるけど」



ああ、駄目だ。
どう足掻いても逃げ出す道が見つからなくて、絶望感が襲う。

どうしよう。
このままじゃ本当に洒落にならない。

───誰か。



「っ…」

「あれ?もう抵抗しないの?」



唇に付いた血を指先で拭って、妖艶に笑う。
その血の付いた指で私の唇に触れると、塗りたくるようになぞってくる。
浅黒い指。



「折角今イイ顔してんだからさ。もっと抗ってもいいよ」



触れられた唇が震える。
長い指が無遠慮に、その唇を割って咥内に入り込んでくる。



「ん、む…ッ」



指先で舌を撫でられて、ぞわぞわと背中が粟立った。
気持ち悪い…っ

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