第8章 真夜中の訪問
「でもさ、オレも心配するけど。そんなに体に鞭打って働く南を見てると」
「大袈裟だなぁ。鞭打ってまで働いてないよ」
「だって科学班ってそんなイメージなんさ。今日だってどうせ南一人じゃねぇんだろ?徹夜してんのは」
「うーん…まぁね。でも班長は、一番の働き者だから」
仕事に関しては厳しい人で、そして誰よりもその仕事に身を捧げてるのもリーバー班長だから。
今頃難しい顔して、あの沢山数字が並んだ難しい数式を解いているんだろう。
「リーバーはんちょと一緒なんさ?」
「うん。今日は私と班長だけだから、少ない方だよ」
そんな班長の姿を想像すると、つい口元が緩む。
「班長、最近徹夜続きだったし。私より体に鞭打ってるのは、断然あの人だからね」
ゴーレムに視線を落としたまま会話していたから、気付かなかった。
「…ふぅん」
小さな相槌が聞こえたかと思えば、ぎしりとベッドのスプリングが音を立てる。
顔を上げれば、いつの間に傍に来ていたのか。
ラビが隣に腰掛けてきていた。
「本の記録しなくていいの?」
「ちょい休憩」
両手を後ろについて、天井を仰いで大きく息を吐くラビ。
長時間の暗記って地味に疲れるだろうし。
何か差し入れでも持ってきてあげれば、よかったかな。