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科学班の恋【D.Gray-man】

第57章 鬼ごっこ



「…あ。やべ」



私の視線を辿って、頬の傷に触れた監視員さんが焦る様子もなく口にする。



「バレちゃった?」



にこりと笑う顔に、咄嗟に距離を取ろうとしたけど後ろは固く閉められたドア。
逃げ出せない。



「残念。折角ロードは騙せてたのに」



小さな頬の傷に指を引っ掛けて、ペリペリと剥がしていく。
それはあのAKUMAがコンバートした時のような動作じゃなかった。
まるで顔に貼り付けていた人の皮を、本当に剥がしていくように。



「結構上手く隠れてたんだけどな」



ペリペリ、ベリベリ。
剥がれた皮膚が、私とその人の足元に落ちていく。
赤みがかっていた癖毛が、塗り潰されるように黒く染まっていく。



「この代替ないからさ。傷付けたら終わりなんだよね」



溜息をつきながら、わしわしと黒髪を掻く。
剥がした皮膚の下から現れた顔は、覆っていた顔とは全く違っていた。

浅黒い肌。
整った目鼻立ち。
切れ目の下の泣き黒子。
ゆらりと緑の目色が揺らいで、透き通るような金色に変わる。



「…っ」



浅黒い肌に金色の目。
その特徴は、前に情報で聞いたことがあるから知っていた。

それは確かに、千年伯爵側の"人間"。






───ノアの一族。









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