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科学班の恋【D.Gray-man】

第57章 鬼ごっこ



「じゃあどうしようか」

「とりあえず、わたしのなかまにAKUMAをたおせるひとがいますから」

「その人に会えば、あれを退治してくれるとか?」

「…たぶん」

「多分?」

「…いま、AKUMAようのぶきをしゅうりちゅうで…」



きょとんと見下ろしてくる監視員さんに、歯切れ悪く応える。



「使えないってこと?」

「……たぶん」



あの神田のことだから、AKUMAを見つけたら平気で抜刀しそうだけど。
もしそれで六幻破損なんてなったら…全責任を負うのは、検査書を作った私になる。

未熟な一職員の私が、勝手に対AKUMA武器の仕様を許可した結果のイノセンス破損。

コムイ室長は許してくれても、ヴァチカン組織上層部の方々は厳しいところは厳しいから。
そうなれば私の立場がどうなるか。
ジジさんみたいに他支部に飛ばされるだけならまだしも、最悪クビなんてこともあり得るかも。

…どうしよう。



「そっか…」



どことなく不安が残るこの状況に、監視員さんが深い溜息を零す。
一般の人からすれば迷惑な話だよね…。
いきなり訳のわからない、オカルト染みた状況に巻き込まれるなんて。
それも命に関わること。










「よかった」










でも次にその口から零れたのは、私の思考とは相反するものだった。



「エクソシストなんていたら、厄介なだけだし」

「…え」



意味がわからず、見上げた監視員さんの顔を凝視する。



「悪いね」



見下ろしてくる顔は、先程までの人懐っこい雰囲気は消えて。
緩く浮かべた笑みは、どこか違う人のもののように見えた。










「俺、一応その"鬼"側の人間なんだ」

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