第52章 1/1元旦(番外編)
「えーっと、確か…」
二礼、ニ拍手、一礼だっけ。
詰め込んだ知識の中から、必要な情報を引っ張り出しながら参拝する。
すると隣で同じく一礼した南が、感心するように見てきた。
「本当、何処で知識身に付けてるの…」
それは秘密ってことで。
ブックマン足る者、情報源は書物だけじゃないんさ。
「ラビって、下手な日本人より立派な日本人な気がする」
「そーさ?」
「うん。他にどんなこと調べたの?」
どことなく楽しそうに聞いてくる南に、つられて笑みが浮かぶ。
「あとは歳旦祭とか書き初めとか…初日の出とか初夢なんかも──」
あ、やべ。
「ああ。そういえば初夢ってラビもう見た?」
「いいや全くこれっぽっちも見てないさ」
「……何その全否定」
やべぇ、すっかり忘れてた。
思わず反射的に全否定しちまったけど、逆にそれは南の興味を引いたらしく。
「変な夢でも見たの?」
「全然」
近付けてくるその顔に、反射的に自分の顔を逸らした。
「夢なんて微塵も見てないさ」
「………」
「…全く」
「………」
「……これっぽっちも」
だからこっち見てくんなって思い出すから。
いや、まじで今はお願いしますこっち見ないで!
「ふーん…どうせ美女の夢でも見たんでしょ」
白々しく見てくる南に、そんな夢であればどんなにマシだったかとつい反抗したくなった。
だけどそこは、ぐっと我慢。
オレ、貴女の夢見たんです。
それもがっつり美味しく頂いてる夢。
すげー可愛かったんです。
すげー色っぽかったんです。
だから今はこっち見ないで下さい、色々と男は大変なんです。