第7章 俺の好きなひと。
「どうした?」
「ぁ…はい。映像処理なんですけど…私のゴーレムから、取り出さなきゃならない映像があって。でも私のゴーレム、ラビにあげちゃったんですよね…」
「ああ…そういや、そうだったな」
顔を上げて問えば、言い難そうに南は苦笑した。
「うーん…どうしようかな…起きてるかな、ラビ…」
壁にかかった時計を見上げながら南が呟く。
時刻は深夜1時半。
起きてるかどうか。
「一応、連絡してみます」
研究所の隅に置かれた電話機に向かう。
俺もやらなきゃならない仕事があるから、そんな南を最後までは見届けずに手元に視線を戻した。
けれど。
「うん…うん、そうそれ」
ぽそぽそと届く南の声が、なんとなく気になる。
多分起きてないだろうなぁなんて考えていたのに、会話らしきものが聞こえてきたから。
こういう時、嫌な予感は当たるもので。
「班長、ちょっとラビの所に行ってきますね」
ちん、と受話器を置いたかと思えば、さらりと南にそんなことを告げられた。