第7章 俺の好きなひと。
「そっちは後どれくらいで終わる?」
「んー…もう少し、です」
だけど貴重だと思う程に時間はあっという間で、時刻は既に深夜1時半。
お互いのデスクに向き直りながら何気なく問えば、曖昧な返事が返される。
どうやら南は徹夜せずに仕事を終えられそうか。
ならよかった。
「今度はちゃんと部屋に戻って寝ろよ」
「あ、あれは…!もう、忘れて下さい…」
からかうように言えば、顔に手を当てて恥ずかしそうに南の顔がそっぽを向く。
あの日の夜、結局南は俺が仕事終えるまで机に突っ伏したまま爆睡していた。
結果、朝出勤したジョニーやタップに、顔にくっきり付いた書類の跡を見つけられて散々笑われたんだよなぁ。
"班長も、起こしてくれればいいのに…!"
そう顔を真っ赤にして切実に叫ぶ南は面白かった。
あの後きちんとクリーニングまでかけて、白衣を返してくれたんだよな。
そういうところマメだ。
そんなことを思い出してると、
「あっ!」
唐突に焦るような声を南が漏らした。
なんだ、ミスでも見つけたか?