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科学班の恋【D.Gray-man】

第7章 俺の好きなひと。



「行くって…」

「連絡したら、まだ起きてたので。今日中に処理終わらせたいですし、行ってゴーレム貰ってきます」

「ちょ、ちょっと待て」



当然のようにそう告げて研究室を出ようとする南に、慌てて腰を上げる。

行くって…今深夜だぞっ?
こんな時間にラビの所に行くなんて…というか、あいつ今何処にいるんだ?



「ラビに届けてもらえばいいだろ?」

「そんな、私の仕事ですから。それに別に取りに行くくらい」

「行くって…書庫室とか?」

「いえ、ラビの部屋ですけど」

「………」



今は確か、ラビと相部屋の師であるブックマンはエクソシストの任務に出ていてラビ一人のはず。

其処に南が行くのか。
一人で。
こんな時間帯に。



「書庫室に用事あるなら、ついでに受け持ちますよ」

「いや…用事はないんだが、」



用事はないんだ、用事はな。
ないんだけれども。
…そこは察しろ、南。

南はこういうこと鈍かったのか。



「えっと…?……それじゃあ、いってきます」



きょとんとして、再び背を向ける南。
咄嗟に慌てた俺は、



「え?」



去ろうとするその腕を、掴んでしまっていた。



「は、班長…?」

「ぁ…わ、悪いっ」



きょとんと少し困惑気味に見上げてくる南に、慌ててその腕を離す。

何をしてんだ、俺は…。
…………今、何を思った?



「何か、あるんですか?」

「……いや、」

「…それじゃ…いってきます」

「…ああ、…」



怪訝な表情のまま、頭を下げて去っていく。
そんな南の背中を見送りながら、俺は一人唖然としていた。

今感じた気持ちがなんなのか。
俺は知っていたからだ。



嫉妬だ。

独占欲だ。



南を、ラビの所に行かせたくないと思った。
これはコムイ室長がリナリーに向けているような兄妹愛じゃない。
ましてや部下に感じる思いでもない。

これは───



「…嘘だろ」



その時俺は初めて、南への想いを自覚した。









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