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科学班の恋【D.Gray-man】

第52章 1/1元旦(番外編)



「わぁ…本当にあった」

「オレ初めて見たさ」



あちこち街中を歩き回って、人にも聞いて、やっと見つけた小さな神社。
神社っていうか、狭い敷地に小さなお堂しかないんだけど。
それでもこの土地で、んなもん見つけられたのは奇跡かもな。



「ふーん」



思わずしげしげと、近付いてお堂の造りを見回す。
柱の古さや屋根の形や、賽銭箱の材質とか。



「ふふ、」



回り込んで覗いてみたり、触って築年数を考えてみたり。
あんまり夢中になって見ていたら、後ろから小さな笑い声がした。
振り返れば、こっちを見て控えめに笑う南の姿。



「なんさ?」



少し照れ臭くなる。
子供っぽいって思われたんかな。



「ううん。なんか…そうして何かに夢中な時のラビって、大人びてるなぁって思って」



あ、やっぱそう?
夢中になって調べ物とかしてると、周りが見えなくなるからジジイにもガキだって───



「……へ?」



大人びてる?

予想外の言葉に、思わず南を凝視する。
今、大人びてるって言った?



「初めて書庫室でラビを見つけた時もそうだった。真剣な顔で、黙々と歴史の文献読んでて」



思い出すように、お堂の屋根を見上げながら南が呟く。



「アレンとか誘って遊んでる時の、夢中さとは違ってて。あの時はちょっと吃驚したんだよ」



その視線をまたオレに戻して。



「アレンやリナリーや神田や…あの子達も同じ年齢の子に比べれば、充分大人びてるけど。多分、一番子供と大人の顔を持ってるのは、ラビだと思うな」



どこか照れたように、南ははにかんだ。



「それだけ色んな顔持ってるんだから。…私はラビを子供なんて、一括りにまとめられないよ」



それは子供扱いされて拗ねたオレへの、南なりの気遣いだったのかもしれない。
けれどその照れた赤い顔に、偽りなんて見えなかった。

ってか、



「…それ褒めてるんさ?」



…そーいう顔で、そーいうこと言うなっての。



「うん、勿論」



思わず熱くなる顔を隠すように、口元のマフラーを擦り上げる。
そんなオレに構いなしに、当たり前のように南は頷いた。

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