第52章 1/1元旦(番外編)
「割と興味はあるかも。日本って歴史深いけど、表沙汰にされてねぇだろ?文献自体も少ないし、読むと結構面白い」
中国に似て歴史の深い国。
なのに他国との繋がりをそう持とうとしない、謎の国。
そういうどこか神秘的なもんは、一度知りたいと思えば強い興味が湧く。
…まぁでも、
「それに、南の国だし」
そのきっかけは南なんだけど。
「私の?」
「…ん」
首元のマフラーを寄せて、口元を隠す。
そのまま視線は余所にずらして。
「好きな人のことを知りたいって思うのは、普通だろ」
知らないことに興味が湧く性分だけど、ここまで強い探究心を持つのはやっぱり南だから。
「………」
南からの反応はない。
思わず気になって視線を戻せば、其処にはさっきから寒さで鼻の頭を赤くしてる南がいて。
「…そう、ですか」
連動するように、じわーっとその頬が赤くなった。
"手に入れたもん勝ちだろ"
宣戦布告とも取れるあのリーバーの言葉を思い出す。
まさか本当にリーバーが南を好いていたなんて。
驚いたけど、予想はしてたから納得した。
同じ想いを持つ者として、認めたけど。
南がリーバーを、恐らく大事に思ってるのも知ってるけど。
でも、だからって諦める気はない。
オレの想いを南に伝えて、待つって約束した。
もうあんな怯えた顔をさせたくないから、あの夜みたいなことはしないけど。
ずっと隠していたオレの想いをこうして口にして、こうやってどこか照れる南を見ていると。
割と、今の関係も悪くないんじゃねぇかなって思う。
「これでわかったさ?オレが特別に思った理由」
「…よくわかりました」
今だから、見られるその南の顔や。
今だから、感じられるその思いは。
一つ一つ、オレにとってかけがえのないものだから。
「んじゃ、早く神社探そうぜ」
「…うん」
その場のむず痒くなるような空気を切り替えるように、明るい声で南を誘う。
まだ少し赤い顔をしていたけど、南は笑って頷いてくれた。