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科学班の恋【D.Gray-man】

第52章 1/1元旦(番外編)



「初詣ね…」

「おう。日本ではそれが慣わしなんだろ?」



隣で白い息を吐きながら呟く南を見下ろす。

お年玉の使い道。
そこで頭に浮かんだのが、最近知ったその情報だった。
神社とかで参拝して、その際に金銭を箱の中に投げ込むらしい。
願いを金で叶えようとするなんて、面白い発想だよなぁ。



「神社なんてあったかなぁ…此処ら辺に」

「あるんじゃねぇ?一つくらいなら」



初詣を体験してみたい。
そう南に言えば、すんなりと了承してくれた。



「でもそのお金、全部入れるの?ちょっと多過ぎるかも」

「へ?そうなん?じゃあどれくらい入れたらいいんさ」



教団から一歩外に出れば、あっという間に冷たい空気を感じて体も冷える。
着込んだ上着の襟を寄せながら、南が考えるように白い空を見上げた。



「うーん…大体はご利益込めて、縁がありますようにって五円玉とか…」

「ゴエンダマ?」

「日本の通貨。でも私持ってないしなぁ…」



へぇ、そんな意味まであったんさなぁ。

日本の言語は、他の国より種類も多いし複雑だから。
知れば知る程面白くて、つい夢中になって書庫室の関連資料を読んだりもした。
こうして知ると、日本って面白いと思う。



「とりあえずお賽銭箱に入れるのは、お札じゃなくてコインにしとこっか。残りはラビが好きなことに使いなよ」

「オレにとって、これが好きなことなんだけど」

「本当に?…なんかラビっぽくない」



オレっぽくないってどゆこと。
驚いた顔で見上げてくる南の反応からして、本音なんだろうけど。



「折角南から貰ったもんだし。特別なことに使いたいだろ」



こうして南と一緒に、知らないことを体験できる。
形にはならないけど、オレにとっては何よりも意味がある。



「特別なこと?ラビ、日本に興味でもあるの」

「あー…まぁ、それもあるけどさ…」



きょとんと見てくる南には、どうやら初詣の方に特別な思いがあると思われたらしい。
まぁ、それは間違いじゃないけどさ。

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