第52章 1/1元旦(番外編)
「何が入って───…お金っ!?」
「お年玉は現金が普通だから。少しだけだけど、それで何か好きなもの買ったらいいよ」
「あぁありがとうございます…!師匠の借金返済に当てさせてもらいます!」
「う、うん…それでもいいけど…」
わなわなと体を震わせて歓喜の礼をするアレンに、苦笑混じりに南が返す。
まぁアレンの金の使い道って、食事かそこにつきるよな…。
「はい、ラビも」
不意に南がこっちを向いて、同じ紙袋を差し出す。
思わず夢の中の南を思い出して、ドキリとした。
でも、それ以上に。
「………」
「…ラビ?」
当たり前に"大人"な顔で接してくる南が、なんだか気に入らなかった。
「…要らねぇ」
「え?」
「オレ、子供じゃねぇさ」
それこそガキのような言い分だと思う。
でもそうやって子供扱いされることが、なんだか嫌だった。
オレ、南の夢見て射精しちまうような奴なんですけどっ
…とは死んでも言えねぇけど。
「ラビ、南さんに失礼だから」
「そうですよ。要らないなら僕が貰いますよ」
「じゃあやるさ。ごちそーさんっ」
「あ、ラビ…っ」
南の言葉も待たずに席を立つ。
どうせオレはガキさ。
簡単に南の夢見て欲垂れ流したり、簡単に南の表情一つで拗ねたり。
南は微塵も気にしてないのに、オレだけ色々勝手に悩んで振り回されて。
そんな自分がなんだか嫌で、急いでその場から逃げ出した。