第52章 1/1元旦(番外編)
「おはよ、アレン。リナリーにラビも。あけおめー」
「あけましておめでとう、ジョニー。また徹夜してたの?」
「大晦日まで仕事なんて…大変ですね」
「そうでもなかったよ。仕事は日付変わる前に終わらせて、皆で年越ししたし」
「タップの初日の出の舞、面白かったよなー」
「ありゃただの裸踊りだって」
相変わらずどんちゃん騒ぎしていたらしい科学班の皆が、わらわらと朝飯のトレイを持って周りの席に座る。
いつもなら声をかけて、オレの隣に南を呼んでいたけど…そんな些細なことがなんだかできなくて、思わず視線を逸らした。
「此処、空いてる?」
…そういう時に限って、こういうことが起こるというか。
「あー…うん。どぞ、」
振り返れば、クタクタの白衣姿の南が其処に立っていた。
「はぁ、疲れた…」
仕事疲れか、騒ぎ疲れか。
目の下には相変わらず隈があって、その身形もそのまま研究室から来たんだろう、相変わらずのもの。
いつもと微塵も変わりない、南の姿。
「あ。あけましておめでとうございます」
「…ぉぅ」
なのに、まともに顔が見られない。
「アレンとリナリーも、あけましておめでとう」
「おめでとうございます」
「今年もよろしくね、南さん」
「こちらこそ」
一連の挨拶をする南は、疲れ故かそんなオレに気付く気配はない。
よかったさ…。
「はい、これ」
「え?」
「なんですか?これ」
そんな南が、二人に小さな紙袋を手渡す。
掌サイズの紙でできた長方形のそれ。
…それって確か。
「お年玉っていうの。日本の慣わしでね、新年のお祝いとして、基本大人から子供に送るものなの」
「え。貰っていいの?」
「勿論」
「わぁ、ありがとうございます」
嬉しそうに受け取る二人に、にこにこと笑う南の顔は、正に"大人"そのもの。