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科学班の恋【D.Gray-man】

第51章 12/25Xmas(番外編)



「大丈夫、誰も見てませんから」

「ティムが見てるけど…っ」

「南さんが映像解析してくれるでしょ?その時に外しておいてくれたら、大丈夫です」

「……確かに」



納得してくれたのか、腕の中の存在が大人しくなる。
それでもどこか、ぎこちなく体に力が入ったまま。
そんな南さんには悪いと思ったけど、これ以上の解決策は思いつかないから。
ごめんなさい、もう少しこのままで。



「…アレンって、マダムキラーな気がする…」



ぽそりと、前を向いたまま南さんが赤い耳で呟く。



「マダムっていう歳じゃないでしょ、南さんは」

「…じゃあ年上キラー」

「そうかな、そんな気はないけど…」



ああ、でも。
南さんのそういう可愛い姿が見られるなら、色々してみたくなるかもしれない。



「でもアレンの凄いところって、こういうことしてもいやらしさがないとこだよね」



じんわりと上着の中で包まれる体温に、ぽかぽかと体が温かくなる。
その心地良さからか、次第に南さんの強張っていた力も抜けていく。
イルミネーションに目を向けたまま、感心するように漏れたその言葉に思わず苦笑した。

僕だって、狼になる時はなるんだけど、ね。



「じゃあそのお言葉に甘えて、」

「わ…?」



その言葉は口にせずに、南さんを抱く腕に僅かに力を込める。
視線はイルミネーションに向いたまま、その丁度良い高さにある肩に顎を乗せて頬を寄せる。

この特別な日に、こうして誰かと体温を分け合ったのはマナ以来。

寒い寒い星空の下、やっと買えた小さなパンケーキを二人で分け合った。
美味しい美味しいと口にして、僅かな量のそれは空腹を満たしてはくれなかったけど。
何よりも心を満たしてくれた。



「アレン…?」

「はい」



目を瞑り、その思いに浸る。
小さく呼びかけてきた声は、それ以上何も問い掛けてこなかった。

代わりに触れたのは、柔らかい手。

上着の隙間から伸びた手が、軽く僕の髪に触れる。
僅かに往復するそれは優しく撫でる仕草。

そういえば、あの夜。
潰れた科学班の皆の飲み会跡で、南さんにこうして頭を撫でてもらったっけ。

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