第51章 12/25Xmas(番外編)
着ていた上着を脱いで、南さんの体を包むように羽織らせる。
「ぃ…いいよ、アレンが寒くなるでしょ。下、半袖じゃない」
「僕は鍛えてるから平気です」
にっこり笑って返す。
鍛えてるから割と平気なのは本当だし、女性に我慢させる方が僕としては許せない。
下心なんてないけど、それで相手が喜んでくれるなら僕も嬉しくなる。
やっぱり女の人には笑っていて欲しいし。
…そう、思ってやったんだけど。
「………」
「え、と。僕、変なことしました…?」
「してないけど…」
南さんは何故か、むすっとその眉間に皺を寄せた。
「気遣いは嬉しいけど、ちゃんと自分の体も大事にしなきゃ。特にアレンは体が資本でしょ」
「南さんも同じですよ」
「そうだけど、差はあります。内勤と外勤。事務と営業。マネージャーと俳優!はい、科学班とエクソシストはどっちですか」
「………」
それは、まぁ。
そんなこと言われればそうだけど…というか例えが飛躍し過ぎです。
「アレンの紳士な所は素敵だけど、自分を犠牲にしちゃ駄目です」
「犠牲って言う程じゃないですよ」
そうは言っても、南さんの眉間の皺は取れない。
うーん、どうしようかな。
押し切ることはできるけど、折角こんなお祝いしてもらってるんだし。
どうせなら南さんのあの笑顔を見ていたい。
「あ。じゃあ」
「?」
「上着、貰いますね」
思いついて、ぽんと手を打つ。
南さんから上着を返してもらって、再び着込む。
そのまま前は掛け合わせずに、両手で広げて。
「失礼します」
「っ!?」
すっぽりと後ろから、南さんを上着で包むように抱き込んだ。
「これなら、さっきより僕も温かいし。丁度良いです」
横から顔を覗くようにして、上着で抱き込んでる南さんに話しかける。
驚いた顔で固まっていたその表情は、見る間に頬を赤くして。
「それは、そう、だけど…っ」
あたふたと動揺する声に、思わず笑いそうになった。
ああ、可愛いなぁ。