第51章 12/25Xmas(番外編)
"じゃあ、アレン君の歳って幾つ?"
"16ですけど…っ"
"可能性が無限大な年頃だね、いいなぁ。身長は?"
"さぁ、測ったことないから…160以上はありますけど…って、だから…!"
"大丈夫、まだまだ伸びるよ成長期。じゃ、誕生日"
"12月25日…って、話聞いて下さい!"
ドリルでガリガリ左手を削られて、それどころじゃなかったから、そんな会話すっかり頭から飛んでしまっていた。
矢継ぎ早に質問する南さんも南さんだから、適当な感じしてたのに。
…あれ、覚えてたんだ。
「あれ、もしかして間違えてた?私」
「い、いえっ」
驚く僕に、不安そうになる南さんに慌てて首を横に振る。
「合ってます。…僕の誕生日です」
本当の、じゃないけど。
本当の生い立ちなんて知らないから、僕にはそれがある意味、本物の誕生日。
"アレン"という名の子供が生まれた日。
「そっか、よかった」
ほっと息をつきながら、南さんが肩を竦める。
「でも、今日ティム預かってる途中で思い出したから。急だし、なんにも用意できなくて。仕事抜けられないから、何も用意できないし…アレンの欲しい物も、ご飯くらいしか思いつかないし。それならジェリーさんに貰えてるから、なんにしようかと思って」
ポリポリと頭を掻きながら早口に言う沢山の言葉は、どこか言い訳のように。
でも僕には、それだけ色々考えてくれていたんだと思うと、じんわりと胸が温かくなる。
「時間もそんなになかったから…こんなことしかできなかったけど」
言われて気付く。
腕時計を確認すれば、もうそろそろ日付が変わる頃。
「当日にお祝い言いたかったから。折角のクリスマスだし、それっぽいことして」
キラキラと輝く街並みの明かりの多くは、赤と緑のクリスマスカラー。
ただ綺麗な景色だからじゃなくて…だから、此処に連れて来たかったんだ。