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科学班の恋【D.Gray-man】

第51章 12/25Xmas(番外編)



そんな幸せなクリスマスの朝。

…………だったんだけど。






「………何処だ、此処」






日付ももうそろそろ26日に変わろうとしている、遅い時間帯。
僕は知らない場所にいた。
正しくは、教団内の迷路のような階段と廊下の間。



「ティムを科学班に預けちゃったのが失敗だったんだ…」



朝、昼、晩とも。
美味しいクリスマスのフルコースを味わって、幸せな一日だった。

今日は任務もないし、科学班に映像解析したいと言われたからティムキャンピーを預けてた後。
修練して体を動かしたり、お風呂でまったりしたり、割と有意義に時間を使えた。

ラビは色気がないってぼやいてたけど、クリスマスだからって無理に恋人を作ろうとする方がなんだか悲しい気がする。
それに…僕は恋人より家族と過ごすクリスマスの方に、きっと憧れるから。



「はぁあ…何処だ此処~…」



何度目かの溜息をついて、頭を抱えて階段に座り込む。
時間帯も遅いからか、全然人に合わなくて。
だから帰り道もわからない。

あまりにジェリーさんの料理が美味しかったから、ついハイテンションになってしまったんだ。
周りを確認せずに歩いてたら、すぐこれだ。
つくづく自分の方向音痴さに嫌気が差す。



「………最初のクリスマスは、小さなケーキを二人で食べたんだっけ…」



暗い階段に座り込んでじっとしていると、まるでこの世界に一人ぼっちのようで…ふと思い出した。

マナと最初に迎えたクリスマス。

出会って一年だと伝えればお祝いをしなきゃとマナは張り切って、ピエロの格好をして、あちこち道端で日銭を稼いだっけ。
でもどこのケーキ屋さんも予約でいっぱいで、当日にケーキなんて買えなかった。
やっと手に入ったのは、パン屋さんで売っていた小さなパンケーキ。

二人で分け合って、星空の下で食べた。

普通のパンケーキだったけど、僕にはとても美味しかった。
量は少なかったけど、胸は凄くいっぱいで。
それだけで充分だった。

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