第51章 12/25Xmas(番外編)
「じゃ、私急いでるから」
「おー、あんま無理すんなよ」
「お疲れ様です」
軽く手を挙げて、先に食堂へと向かうその背中を目で追う。
…最近、つい目で追ってしまう人がいる。
最初は、ラビとよく一緒にいる人だから。
その経緯で自然と話すようになって、それから仲良くなった人。
ラビが特別視しているみたいだからなんとなく気になって、見つける度に軽く話をしていたけれど。
「体壊さなきゃいいけどなー…」
「そうですね」
あの日、あの夜。
科学班の飲み会跡で、あんなことを口走ってから。
なんだかその姿を、いつの間にか探すようになっていた。
"泣かせたら、僕が貰いますからね"
そう口にした時のラビの顔は、今思い出しても面白かった。
思いっきり驚いた顔をしていて、あの時はつい吹き出しそうになったのを必死で堪えた。
ラビ経由で仲良くなったけど、南さんの人の良さは初めて会った時から感じていた。
だからこそ、誰かが彼女を泣かすなら黙っていられないと思う。
でも、そこまで。
彼女を思う気持ちに好意はあっても、恋愛感情はない。
…と、思う。