第51章 12/25Xmas(番外編)

「なんか疲れてねぇ？また徹夜してたんさ？」

「ちょっとね。イヴをリナリーと過ごしたいって、室長が仕事放って脱走したから。決済が溜まりに溜まって…」

「へー…コムイも相変わらずさな。お疲れさん」

「どうも」



労うように、ラビの手が南さんの頭をぽんぽんと撫でる。
疲れた顔で苦笑する南さんに向けるその目は、親身に心配していた。

やっぱり。

なんとなく前々から気付いてた。
ラビが南さんに向ける視線や行動は、他の女性に向けるものとは違う。
任務先でよく「ストライク！」なんて行って美女に向かう姿を見ていたからこそ、その違いに気付いた。



「んじゃ朝飯一緒に食う？」

「あー、ごめん。まだ仕事終わらないから、皆の分の軽食を取りに来ただけなんだよね」

「げ、こんな日まで仕事かよ。今日クリスマスだけど」

「だねー。サンタさんに休暇下さいって頼んだら貰えるかな…」



どこか遠い目をして呟く南さんに、思わず同情する。
僕達は任務さえ入ってなければ比較的自由に過ごせるけど、南さん達科学班は常に仕事漬けなイメージがある。



「休暇はあげられませんけど、僕達にできることがあったら言って下さいね」

「ありがとう、アレン。その優しさだけで、おねーさんは胸がいっぱいです」

「ちぇー…じゃあ今日は自由時間、全く取れねぇの？」

「うーん…もしかしたら」

「まじかよ…」



がっくりと項垂れるラビに、申し訳なさそうに南さんがその肩を叩く。



「また暇ができたら言うから」



その言葉に納得いかない顔で、それでもラビは渋々頷いた。

…南さんのこと、特別視してるみたいだし。
今日はクリスマス。
少し、そういう意識をラビもしてたのかな？