第49章 海へ
「んだよ。可愛い部下の前では、できる上司でいたいってか?お前も男だったんだなー」
「いい加減その減らず口閉じないと殴るぞ…っ」
ケラケラと笑いながら、ジジさんが私の後ろに回る。
拳を握った班長から隠れるように、私の背中に身を寄せて。
「ほらほら、子供の前でそんな怖い顔すんなよ♪」
「南を盾にすんのはやめろ!」
「わ、ちょ…っ」
そんな二人に挟まれて、わたわたと振り回されていたら。
「…おい、テメェら」
呆れたような、でもとてつもなく低い声が届いた。
「いい歳した大人が遊んでんじゃねぇよ。さっさと乗船手続きしやがれ」
思わず動きを止めて三人で見た先には、額に青筋を浮かべて不機嫌MAXの神田が立っていた。
…未成年の神田に注意される大人三人って。
……うん、ごめんなさい。