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科学班の恋【D.Gray-man】

第49章 海へ



「はぁ…」

「まだ凹んでんのか」

「だって…はんちょう、きのうちゃんとねましたか?」

「寝たよ、あの後すぐ」



トボトボと歩く度に漏れる溜息は、自分の不甲斐なさから。
ちゃんとリーバー班長が寝るのを確認するまで起きるつもりでいたのに、気付いたら寝落ちていた。
そして目が覚めた時には、しっかり布団をかけられて列車のベッドの中だった。



「南のお陰で仕事も捗ったし。ありがとな」



隣を歩く班長が、少し困ったように笑う。
…これ以上言うのはやめておこう。
起きた時、ちゃんと班長も隣のベッドで寝ていたし。
多分ちゃんと寝てくれたんだと思う。



「お前ら本当、仕事好きだよなぁ…南、リーバーみたくなるなよ?若い女が仕事尽くしなんて悲しいぞ」

「…それは俺が悲しい奴だって言いたいのか」

「だってお前、女っ気全然ねぇし」

「それはジジも同じだろ」



班長の隣から、ひょっこりと呆れた顔を出したジジさんがぼやく。
確かに班長の傍に女性の影は、あまり見たことがない。



「折角モテるスペック持ってんのに、ああも毎日仕事に追われてちゃあな。宝の持ち腐れだ」



…やっぱりリーバー班長、モテるんだ。

ジジさんは昔は教団本部で働いていて、その時の室長に反発してアジア支部に飛ばされてしまったらしい。
ある意味、コムイ室長より古株の人。
だからリーバー班長の新人時代も知っているみたいで、遠慮なく失礼なことも言ってくる。



「むかしのはんちょうって、どんなひとだったんですか?」

「お、いい質問だな。昔はよ、こいつも仕事でヘマすること多くて」

「へま?」

「ばっ…余計なこと言うなよジジ!」



面白そうに告げてくるジジさんの言葉を、班長が慌てて制す。
そんな班長を、思わずまじまじと見てしまう。
あんなに仕事ができて、自分にも他人にも厳しい人が。
…そんな時代、あったんだ。

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