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科学班の恋【D.Gray-man】

第47章 可愛い貴方



班長の動作や言葉は以前と変わらない。
子供扱いしていない、私自身を見て気遣ってくれるもの。
そんな優しさを感じる程、何か返してあげたいと思うのに。



「でも…じゃあ、しょるいのせいりします。はんちょうはけいさんのほうだけ、しゅうちゅうしてくれたらいいので」



なんとか、自分にできないことはないか。
そう急かす心が、無造作に置かれた書類の束に手を伸ばしていた。



「そんな、整理くらい───」



そんな私に、止めようとしてくる班長の目。
それが私の顔を見てきょとんと止まった。



「…そんな顔すんなよ」



一瞬沈黙を作って、班長が仕方ないとばかりに苦笑する。
そんな顔って…どんな顔してたんだろう。
あまりに必死な顔してたのかな。
…それはそれで恥ずかしい。



「わかった。じゃあ、整理任せていいか?」

「!…はいっ」



なんだか恥ずかしくて視線を下げていると、思いも掛けず班長の了承を得て、顔が勢いよく上がる。



「部署分けしてくれると助ける。提出先が違うからな」

「わかりました」



窓際に座るリーバー班長隣に腰を落として、大量の書類の整理に取り掛かる。
こうして一緒に仕事をすると、場所も格好も普段とは違うけど、二人で徹夜して仕事していた時を思い出す。
仕事はキツいけど、なんだかんだ楽しかったな…班長との徹夜って。



「眠たくなったら、いつでも寝ていいからな」

「それは、はんちょうもですよ。せいりはわたしがしておきますから」

「お。南も言うようになったな」



上のベッドでジジさん達が寝てるから、小さな声でしか話せないけど。
仕事に忙しなく追われることなく、こうして一緒の時間を過ごせるのは…

純粋に、嬉しい。



「…というか、はんちょうきようですね」

「ん?」



計算表に視線を落としたまま、班長の目はこちらを一度も向かない。
それ故に、遠慮なくまじまじとその横顔を観察できる。
早い動きで書類の上を走るペンは、一度の迷いもなく複雑な化学式を解いていく。
そんな頭を使う仕事をしているのに、私の話に相槌も打ってくれて。

…こんなに仕事ができる人、早々いないと思う。

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