• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第46章 父と娘



班長の手は時々頭や肩に触れていたそれより、いつもよりずっと大きい。
だけど握り返してくるその動作は、酷く優しかった。



「うわ、リーバー。そうやってると親子に見えるぞ」

「うるせぇな。この歳の子供がいる程、歳食っちゃいねぇよ」



面白そうにからかってくるジジさんが、この時ばかりは救いだった。
じゃなきゃ変に照れてしまう気がして。



プルルルル



駅に近付くと、更に人混みは大きくなる。
班長に手を繋いでもらっていたのが、救いだった。
じゃなきゃ人混みの波に攫われてしまいそうな程。
子供って大変だったんだなぁ。



「おい、あれ俺らが乗る列車ベルじゃねぇか?」

「まずい、走るぞっ」

「チッ」



遠めに聞こえる列車のベル。
ジジさんの言葉に、班長の歩幅が遠くなる。



「わっ…」

「大丈夫かっ?」

「は、いっ」



一生懸命ついて走りながら、しっかりと手を握り返す。



「すみませんっ乗ります!」



駅員さんが乗り遅れがないか、辺りを確認している中、なんとか転がり込むように班長と共に列車に飛び乗った。
同時に背中の扉がプシューッと閉まる音。
よかった、間に合った…っ



「おやおや、慌しいな」

「す、すみません…」



目が合った駅員さんの言葉に、慌てて頭を下げればにこりと優しく笑って返された。



「大丈夫だよ。お嬢ちゃんはしっかりしてるね」



そのまま、ぽんぽんと頭を撫でられて。



「お父さんに、似たのかな?」



そう、リーバー班長を見て笑った。



「「………」」

「ほら見ろ、親子だろーっ」



お腹を抱えて笑うジジさんに、この時ばかりは班長も反論しなかった。

…なんていうか…すみません、班長。






/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp