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科学班の恋【D.Gray-man】

第46章 父と娘



「そうかぁ?折角似合ってたのになー。まぁこれも可愛いけどよ」

「ありがとうございます」



褒め言葉は素直に受け入れますから。
短パンの裾を引っ張るのは、やめて下さい。



「あれだな、昔の神田みたいだな」

「かんだ?」

「そうそう。コイツ女顔だから、小さい頃は本当に女子みたいでよ」

「オイ」



ケラケラと軽く笑ってジジさんが指差す先には、怖い顔した神田が。
あまり煽らない方がいいんじゃ…確かに美形だから、子供の頃も綺麗な顔してたんだろうけど。
でも子供の神田って、なんとなく想像つかない。



「雑談もいいが、歩きながらにしろよ。列車の時刻あるからな」



そこに仕切り直すように、リーバー班長が声をかける。
てきぱきと支持するところは、職場と変わらず。
ジジさんも頼りになるけど、おふざけも大好きな人だから。
リーバー班長を同行者に選んで正解だった。

…けど。



「っ…」



教団本部からアジア支部は、割と遠い。
だから列車に乗り遅れるなんて、時間を掛けることはしたくない。
でも班長も神田も、男性なのもあるけど身長もあるから。
一歩が私には地味に大きくて、つい小走りになる。

この体になってから、一歩も外になんて出てなかったから。
こう、街中を歩くのって…大変だったんだ。
普通の人込みも大きく見える。



「おい神田ー。もちっとゆっくり歩けよ、南がいるんだぞ」

「お守りはごめんだ」



でも一番の原因は、きっとあれだ。
スタスタと先頭を歩く神田その人。



「ほら、」

「?」



我侭は言ってられないし、列車に乗れさえすれば休めるから。
黙ってついて行ってると、不意に目の前に大きな手が映った。
顔を上げれば、眉を下げて笑う班長の顔が。



「掴まってろ」

「…え、と…」



一瞬躊躇したのは、手を引かれるなんて子供っぽいことに恥ずかしさを感じたのと、その手がリーバー班長のものだったから。
職場の上司と手を繋ぐなんて機会、普通はない。
色んな意味で恥ずかしくて、一瞬止まってしまったけど。
見下ろす班長の顔は、子供扱いしている様子はなく優しくて。



「…すみません」



気付けばその手を、おずおずと握っていた。

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