第45章 好きの理由
「っ…ラビ、あそんでるでしょ」
「なんかちっこい南だと、こう…愛でたくなるというか」
単なる子供だと思えば、愛でたくなる気持ちもわからなくはない。
だけど生憎、私は子供じゃない。
中身は成人女性なんです。
「っ…」
これがリナリーとかならまだいいけど、相手はラビ。
恥ずかしさというより、その密着度に変にドキドキして心臓に悪い。
元々ラビはスキンシップが多いから、抱き付いてくるなんてことも偶にあった。
そうやって以前のように、変わらぬ態度で接してくれるのは嬉しいけど。
嬉しいんだけど、も。
「あれ?なんか顔赤くね?」
「…セクハラでうったえますよ」
…顔、近い。
「大丈夫さ。いくらオレでも、子供の南に手なんて出さないから」
面白そうに笑って言うラビに、偽りは見えない。
年上美女が好みだし、多分子供の姿の私は範囲外になるんだろう。
純粋に子供の私を可愛がってる。
多分そんな感じ。
……別に、今更。
そんなことはわかってるし、子供の自分に手なんて出されても困る。
それはわかってるけど。
…………なんか、ちょっともやもや。
「…ラビってさ、びじょすきでしょ」
「なんさ急に」
よしよしと頭を撫でてくるその手を自由にさせたまま、ベッドのシーツに視線を落とす。
クロス元帥との晩酌の時、ふと抱いた疑問。
それを思い出した。
「わたし、びじょじゃないけど」
なんで私を好きになったのか。
純粋に不思議だった。
そんなこと聞くの、恥ずかしくて明確には問わなかったけど。
言葉の真意は、頭の回るラビならわかるはず。
「……南ってほんと、アホさな」
なんですと。
一瞬の間を置いて、頭の上の声はアホ呼ばわりしてきた。
思わず文句でも言おうかと見上げれば、きょとんと見てくる翡翠色の目と合って。
「外見で惚れてりゃ、そんな楽なことはないさ」
それは困ったように、笑った。