• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第43章 兄と妹



そんな温かい気持ちに浸っていたのも、束の間。



「おかえり、ラビ。任務で疲れてるでしょ?南さん、こっちに頂戴」

「えー。オレ、全然堪能してねんだけど」



両手を差し出してくるリナリーに、ラビが私を抱いた腕を遠ざける。
…私はマスコット人形か何かですか。



「まぁまぁ。朝ご飯くらい、ゆっくり食べさせてあげたらどうですか」



そこに苦笑混じりに口を挟むアレンには、感謝したけど…全体的に皆、私を子供扱いしてる気がする。
なんか…うん。
言葉の節々とか、行動の節々が。
…なんか複雑。



「これリナリーがやったんさ?」

「そうだけど」



結局、ラビの腕から解放はされたはしたけど。
おかずの玉子焼きを口にする私の髪を、隣に座ったラビの指が弄ぶ。



「チャイナもいいけど、洋服姿も見てみたいよな。フリルいっぱいのワンピースとかさー」

「あ、それね。私も考えたんだけど、色合いで迷っちゃって。ピンクか水色か、」

「白も捨てがたいさ」



………。

なんかツッコみ所があり過ぎて、どこからツッコんでいいのかわからない。
フリルワンピースを着るなんて言った覚えはないし、どこからそんなもの調達しようとしてるのか。
怖くて聞けない。
…完全に着せ替え人形になってる気がする。



「猫耳フードとかも可愛いと思うの」

「オレは猫耳より、兎耳のやつかなー」

「それ自分用じゃないの?」

「オレの名前、兎って意味違うから」



両脇で楽しそうに会話を弾ませる二人には悪いけど、嫌な方向にしか話が進まないから逃げ出したくなった。
獣耳フードとか許されるのは、リナリーみたいな可愛い女の子だけだから。
私がやったら醜態晒すだけだから。
確かに今は見た目は子供だからセーフかもしれないけど、そんな格好したら絶対に科学班の皆にからかわれる。
一週間はネタにされる。

そんなの、ごめんです。



「あ、いたいた」



ふと声が掛かったのは、そんな時だった。
軽く片手を挙げて、こっちに向かって来るのは…ロブさん?

/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp