• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第41章 交換条件



「にしても、本当に南なんだな…」



向かい合わせに抱き直される。
じぃっと私を見てから、驚いたように静かに息をつくリーバー班長。



「本当にって…南さんがこうなったのは、科学班の薬の所為じゃないんですか?」



一緒についてきてくれたアレンの言葉は、私も問い掛けたいことだった。



「確かにうちに体が子供になる薬はあるが…ここまで小さくなったっけな…」



考えるように、まじまじと班長の目が私を観察する。
…近い。
真剣な表情が、凄く近い。

お、下ろしてもらえないのかな。



「なんだ、南。薬品を誤飲するなんて、科学班失格だぞー」

「っそんな、のんだおぼえないんですけど…」



呆れたように言うマービンさんに、慌てて首を横に振る。
だって本当にそれらしいものを飲んだ覚えはなかったから。



「誰かあの薬を最近扱った奴いるか?」



周りを見渡して言うリーバー班長に、皆は首を横に振った。
ということは、その薬じゃないってこと…?



「まいったな。原因がわからなけりゃ、解毒剤も安易には作れないし…」



確かに。
原因となる薬の情報がないと、適当に解毒剤を作っても悪化し兼ねない。
どうしよう。



「じゃあ、どうするの?班長」

「そうだな…とりあえず、南を連れて来てくれてありがとう。後は俺達でどうにか、対策を考えてみるから」



心配そうに問いかけてくれるリナリーに、班長は安心させるように笑いかける。
まぁ多分、一生このままの姿じゃないだろうし。
…多分。
化学薬品のエキスパートが、此処には沢山いるんだから。
大丈夫、大丈夫。



「───おい、」



そこに静かに響く低い声。
見れば鋭い眼孔の持ち主と目が合った。
その目は何も言わずとも"わかってるな"と語っていた。

/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp