第41章 交換条件
「………南?」
「はい」
「え…南?」
「うん」
「南、か…?」
「そうです」
只今の私の定位置。
そこは科学班研究室内の椅子に座った、リナリーの膝の上。
あのアイドルの生膝の上に、座らせてもらってる状態。
ありがとうございます。
そこから見える景色は、驚き見てくる科学班の皆の顔。
固まって、皆動かない。
ジジさん、コーヒー零れてます。
「本当の本当に南か?」
「だから、そうだって───」
驚いた顔のまま、おずおずと近付くタップ。
徐に大きな手を私の両脇に入れたかと思えば、ひょいと抱え上げる。
「それ、高い高ーい」
そして放られた。
真上に。
「なっに、する…!やめ…ぎゃー!」
「おお、子供らしかぬ反応!」
「やっぱ南か!」
どういう確認の仕方!
子供かどうかなんて、仕事の話すればわかるでしょ!?
「何阿呆なことやってんだ」
タップに受け止められたかと思えば、また宙に放られて、落ちる。
瞬間、途中で伸びてきた腕が私を抱きとめた。
タップよりも遥かに高い位置にある、その腕は───
あ。
「リーバー、はんちょう」
思わず見上げた先には、呆れたようにタップ達を見る顔があった。
…近い。
「大丈夫か、」
「は、はい」
色素の薄い目がこっちを向いて、思わず気恥ずかしくなる。
近い。
色々と。
あと、腕が…その大きな腕が、胴体に回されてるから…胸に当たってます。
いえ、今は胸ないんですけど。
つるつるですけど。
なんかこう、ちょっぴり意識してしまうというか…。
つるつるですけどっ