第40章 幼子と暴君
体が小さくなってしまったからか心の余裕も小さくなった気がして、くたびれた白衣を羽織りながらドアの前に座り込む。
昨日は周りに泥酔した科学班の皆が転がってたし、隣にはジョニーにラビとアレンもいた。
でも今私の眼下に広がるのは、だだっ広く続く暗い教団の廊下のみ。
そんな広い教団の一室の前で、一人寂しく野宿の真似事なんて。
…涙が出そうです。
思わず立てた膝に顔を埋めて、凹んでいたら。
「───おい、」
その日一番、待ち望んでいた人の声を聞いた。
「っ…!」
思わずガバリと顔が上がる。
誰でもいい、教団内の人なら。
凄く大きな職場だから、面識ない人もいる。
そんな人でもよかった。
とにかく人に会いたかったから。
やっと天の助けが…!
そう、神様に感謝して。
「………え」
…一気に、気持ちは急落した。
「なんで餓鬼がいやがる」
見下ろしてくるのは、鋭い眼孔を持った黒い瞳。
サラサラの黒い長髪はいつも一つに結ばれてるけど、今はさらりと背中に流されていてオフの姿なんだとわかる。
女性顔負けの綺麗な顔に、綺麗な髪。
でもその中身は誰よりも男らしいことを、私は知っていた。
…というか物凄く暴君。
「……かんだ…?」
ラビと同じ年頃のエクソシスト。
神田ユウ、その人。
…神様。
この人は、一番子供と接点なんて結べない人です。