第39章 非遺伝的変異
「なんで…え?」
思わず狼狽える。
慌てて周りを見渡せば、離れている物はわからなかった。
だけど脱衣所の棚や並んだ椅子は、自分が普段使っている物より大きく見えた。
「…まさか、」
嫌な予感。
暗くてよく見えない自分の体を、ぺたぺたと触る。
別にスタイルに自信なんてないけど、それでも女性特有の二つの膨らみは胸にある訳で。
「………ない」
それがまるで手品のように、つるりとなくなっていた。
む、胸が消えた…って、問題はそっちじゃない!
「っ!」
慌てて近くにあった椅子を、バタバタと電気スイッチの壁まで運ぶ。
どうにかよじ登って手を伸ばせばスイッチに手が届いて、ぱっと一気に明るくなる脱衣所。
同時に脱衣所の壁に設置された、大きな横長の鏡が見えて。
「…な…っ」
そこに映る、電気スイッチに手を伸ばした姿に唖然とした。
「なん…っなんで…ッ!?」
そこにいたのは5、6歳程度の、昔の自分の幼少期姿だったから。