第38章 宴のあとに‐R.W‐
夢の中の南は嫌がってたのに、構わず俺は自分の気持ちを押し付けた。
抱きしめた体は、すっぽり腕の中に収まるくらいに小さい。
なのに触れた箇所から熱を感じそうな程、俺には大きな存在だった。
放したくなかった。
自分の腕に閉じ込めて、その存在を確かめるように何度も触れた。
あの行為はまさにジジとかラビとか、その他諸々色んなもんへの…ただの嫉妬だ。
「はぁあ~…」
額を押さえて深く溜息。
いくら夢は願望の表れとか言うけど。
あれが俺の願望だと言われると、否定───
「………」
………否定、したいんだけど。
…まずい。
「いや、ないから。それはないから」
否定できないでいる自分に、慌てて首を横に振る。
っ…確かに、俺も男だから。
そういう欲はない訳じゃない。
でも色々と飛躍し過ぎだろ。
物事には順序ってもんがあるだろ、俺。
「何がないんスか?」
急に声を掛けられ、声に出さずに驚く。
目を向ければ、書類を手にしたジョニーが立っていた。
「あ、ああ、いや…なんでもない」
「ほんとっスか?班長、珍しく酔っちゃってたから。無理しないで下さいよー」
「はは、ありがとな。で、どうした?」
「あ、この用語の訳なんですけど…」
内容を耳にしながらジョニーを見る。
散々二日酔いしてる連中の中で、ジョニーは珍しく酔い潰れてなかった。
…そういや南もそうだったっけ。
「昨日は悪かったな。南と二人で、俺らの後始末させて」
「ああ、大丈夫っスよ。アレンとラビが手伝ってくれたから」
「そうなのか?」
そういや、朝方その姿を見たような。
関係ない二人にも世話になったのか。
…後で礼言っておかないと。
「でも班長また、南を抱き枕にしちゃうんだもんなー。笑っちゃいましたよ」
「…………抱き枕?」
ケラケラと笑うジョニーに、思わず思考が止まる。
俺が南を、抱き枕?
………どういうことだ。