第5章 オレの宣戦布告。
「でさ───…」
楽しそうに話してた南の声が不意に止まる。
その視線の先には……ああ。
「じゃあ、後よろしく」
「はいっス」
同じ科学班のマービンに書類渡して、仕事の指示をしてるリーバーがいた。
あー…、本当。
想いを伝える気は更々ないけど、こういう南を見るとなぁ…。
胸はツキリと痛む。
「ん?南とラビか」
指示を終えてこっちを向いたリーバーが、オレ達に気付く。
「どうだった?羽伸ばして、疲れは取れたか?」
「あ、はい。お陰様で…明日からしっかり働けます」
「はは、そうか。でもあんまり頑張り過ぎるなよ」
笑って応えるリーバーの言葉に、南が笑みを返す。
その表情はさっきまで浮かべていた笑みとは違う。
ふわりと、つい見惚れてしまいそうな程に柔らかな笑顔。
オレだからわかるのか。
…やっぱりリーバーが好きなんだろうな、南は。
そう思うと、なんだか急につまらなくなった。
というかムカついた。
「南。さっきアレン達が食堂に見えたから、これ持ってってくれるさ?」
「え?あのお土産?」
「ああ。オレ、コムイんとこ寄らなきゃなんねぇからさ。頼む」
「わかった」
南が未成年組に土産買いたいって言ったから、食いもん好きなアレンとかに買ったデザートの箱を南に渡す。
「それじゃあ、失礼します」
「ああ」
リーバーに頭を下げて小走りに食堂に向かう南。
その背中を見送って、オレはその場から動かずに目の前のリーバーに視線を向けた。
コムイに用があるなんて嘘だ。
オレが残ったのは、リーバーに用があったから。