第5章 オレの宣戦布告。
「休日を楽しめたようだな」
「まーね。南も疲れが取れたって、喜んでたさ」
「そうか」
「あんまり仕事でこき扱うなよ?同じ科学班でも、南は女さ。体力も違うし」
年上で立場も何も違うけど、オレからすれば守りたい存在。
過労で倒れるなんてザラにある科学班だから、そういう意味でも心配なんさ。
「わかってる。俺の大事な部下だ、面倒はちゃんと見るよ」
そう言って笑うリーバーの本心は見えない。
部下なら、ジョニーやタップも大事にしてる奴さ。
そんな同じ気持ちで南を見てるのか。
…それだと南の気持ちは報われない。
別に、報われなくてもいいんさ。
オレは南が好きなんだから。
そっちの方が好都合だし。
…だけど南が哀しむ姿は、あんま見たくない。
「…南もああしてるとさ、普通の女性なんさ。面白いことや興味あることには、子供みたいに楽しんで笑うし」
でも、とにかく今は少しむしゃくしゃしてて。
「可愛いだろ?」
言うはずじゃなかった言葉を、リーバーに向けて吐き出していた。
「か、わいい…か?そういうことは、考えたことないが…」
衝動的に言った言葉に戸惑うリーバーを見て、満足感がオレの胸に溢れる。
きっとリーバーは思いもしなかったんだろう。
「でも先に見つけたのはオレだから」
「え?」
そして、オレも相当ガキだったってことだ。
「簡単に譲る気はないんで。そこんとこ、覚えとけよ」
「譲るって…は?何言って───」
「んじゃなー、コムイんとこ行かねぇと」
「あ、おい!ラビ!」
挑発するような台詞を投げて、そのままリーバーの言葉を待たずに去る。
言い逃げだけど気にしねぇ。
言いたいこと言えたから、少しスッキリしていた。
これでリーバーが何も思わねぇんなら、そこまでだ。
その時は…本気で南を貰おうかなぁ、なんて思っちまった。
オレとは違って自由に恋できるんだ。
…まぁ、少しは制限されるかもしんねぇけど。
でも少しは悩んだらいい。
そしたらオレのまだまだ未熟でガキなこの気持ちも、少しは晴れるだろうから。