第37章 宴のあとに‐A.W‐
「───…すげぇな」
「寝落ちたの、5分内でしたよ」
その後。
遅い時間帯だから、とにかく寝ようとジョニーが声をかけてから物の見事に5分以内。
「すー…」
「ぐー…」
毛布に包まって器用に座ったまま眠る、南とジョニーが其処にいた。
こんな固い床の上で、寝付き良過ぎだろ。
どんだけ慣れてんだよ。
「んじゃ、オレらも寝るさー」
やれやれと肩を落として、習うように仕切りに背中を付ける。
寝不足な訳じゃないけど、時間帯が時間帯だから。
じっとしていれば静かに睡魔は襲ってきた。
「…ラビ、」
「…ん?なんさ」
南を挟んだ反対側。
其処に同じように座り込んだアレンが、そっと呼ぶ。
「………」
「…なんさ?」
目を開ければ、じっとこっちを見てくる目。
それからその目は南を映した。
だから、なんなんさ。
「仲直り」
「へ?」
「したみたい、ですね」
確認するように、再度視線が向く。
仲直り?
「事情は詳しく知らないけど…ここ最近、南さん元気なかったから」
「…元気って…」
「というか、どこか上の空みたいで。心ここに在らず、というか」
仲直りなんて言われて、思い当たる節は一つしかない。
南があの夜のことを、アレンに話すとは思えないし…。
恐らくアレンが自分で感じて、色々と解釈したんだろう。
「女性を泣かせちゃ駄目ですよ」
「…別に、泣かせた訳じゃ…」
「ね?」
うわ怖っ
「スミマセン」
にっこり、有無言わさない笑顔を向けてくるアレンに即座に頭を下げる。
クロス元帥の紳士なところが一緒だって、南は言ったけどさ。
あの有無言わさない怖いところも、似たんじゃねぇかな。
アレンの奴。