第37章 宴のあとに‐A.W‐
「そ、そうかな…あたたた」
アレンに肩を揺すられて頭痛が響いたのか、頭を押さえて南が唸る。
「あ、ごめんなさい…っ」
「ん…うん、大丈夫。……でも、一緒だったよ」
慌てて手を離すアレンに額を押さえつつ、それでも南は笑った。
「一緒?」
「うん。他の人が言えば軽くしか聞こえない台詞を、素敵に口にしちゃうところ。アレンと一緒だった」
酒の所為か。
いつもより柔らかい表情で、ふやっと微笑む。
「アレンと一緒で、女性を見る目をちゃんと持ってて。素敵だなぁって思ったよ」
「…っ、え、」
南のその言葉か、表情か。
どっちかわかんねぇけど、どうやらアレンには不意打ちだったらしく、唐突にその顔が赤く染まった。
「ぁ……ありがとう、ございます…」
「うん」
「でも、師匠と一緒なのは……少し、嫌です…」
「ふふ、うん。ごめんね」
赤い顔を隠すように、俯き加減にぽそぽそと呟く小さな声。
そんなアレンの言葉に、始終ふやふやと笑ったまま。
南は優しくまるで愛でるように、その白い頭を撫で続けた。
そんな二人を包む雰囲気はどことなく温かい。
だからなんとなく口を挟めなかった。
そんな二人の姿はまるで───
「なんか、姉弟みたいに見えるねー」
「ジョニー、それナイスさ」
「え?」
うん、姉弟さな、姉弟。
そういうことにしておこう。