第37章 宴のあとに‐A.W‐
でも。
「…そんなに変だったんさ?」
「まぁ、時々ですけど。一人でいる時とか」
あの時はとにかく笑顔の仮面を貼り付けることで手一杯で、南の反応まで気にしてる余裕はなかった。
オレの言動で振り回してしまったことは、悪いと思ってる。
それでも…それだけ南に影響を与えてたんだと思うと。
「…そっか、」
言いようのない感情で、少しだけ心が満たされた。
「ん、泣かせねぇようにするさ」
「約束ですよ」
「おう」
キスした時の滲んだ瞳や、列車の中で溢した透明な涙。
それはどれも頭に焼き付けて、消したくないもの。
でも、無闇に泣かせたい訳じゃない。
アレンに言われなくても、ちゃんと──
「泣かせたら、僕が貰いますからね」
「わかっ……は?」
思わず頷きかけて、その言葉に耳を疑う。
思わずアレンを凝視すれば、いつものように、にっこりと笑っていて。
「それじゃあ、おやすみなさい」
あっさりと、その目を瞑った。
え…いや、ちょっと待つさ。
ちょっと待ってアレンさん!
「…ア、アレ」
「おやすみなさい」
声を掛けようにも、圧のある声で再度告げられた。
…怖ぇんだけど。
聞けねぇんだけど。
というか。
…オレの気持ち、もしかしてバレてた?