第36章 宴のあとに‐L‐
それより南を捜さねぇと。
ぐるりと辺りを見渡せば、皆酔い潰れて動かないからか。
その中で動く人物を見つけるのは簡単だった。
「ジョニーっ……と、ラビにアレン…?」
簡単だった、けど。
「………何してるんさ」
「……どういう状況ですか、それ」
けど。
………なんでリーバーに抱きしめられてんだよ。
「あ、あはは…酔っ払って、私を枕と勘違いしたみたいで…………見ないで下さい」
二人仲良く一つの椅子に座る形で、後ろから南を抱きしめたまま、肩に顔を埋めて寝ているリーバーはんちょ。
多分抜け出せないんだろう。
南は赤い顔で笑ってたかと思うと、耐え切れないとばかりにそっぽを向いた。
「また?本当、班長は南の枕好きだよね」
また?ってなんだよ。
ジョニーの言葉に引っ掛かる。
ってことは、以前も似たようなことがあったんか。
「南さん、そこから抜け出せます?」
「それが、さっきからやってるんだけど…」
「手伝いますよ」
ぎこちなく身動ぐ南に、アレンが手を伸ばす。
「あ、待って。起こさないように、そっと…」
肩に乗ったリーバーの顔を見て、気遣うように南が付け足す。
確かにそんな状態で目覚められんのは困るけど。
気遣う南の姿は…なんとなく、いけ好かない。
「退くさ、アレン。オレがやる」
「え?」
「要は気付かれなきゃいんだろ」
足早に歩み寄って、南とリーバーの腕を掴む。
「ぅわッ」
南の同意を得る前に。
腰に回されたリーバーの腕を、強めに解く。
同時に南をその腕の中から引っ張り出す。
最後に持ってきた毛布を、リーバーの腕に抱かせるように押し付けた。
その間、2秒。
「わー、早技っ」
「色々と荒いですけど」
控え目に拍手するジョニーに対し、アレンは呆れ顔。
んなもん、気付かれなきゃいいんさ。
「んん……すー…」
一瞬身動いだものの、結構飲んでたのか、毛布を抱いたまま眠り続けるリーバー。
その姿に南はホッとした顔で息をついた。