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科学班の恋【D.Gray-man】

第35章 熱を帯びる



「…班長?」



手首を掴まれた先。
振り返れば其処には、こっちを見てくる班長がいた。
あれ、渡したお水飲んでな───



ぐいっ



強くそれを引かれたのは唐突だった。



「……班、長?」



手首を強く掴む手。
もう一方の手は、私の腰にしっかり回されたまま。
引っ張られて傾いた体は、呆気なくその腕に収まった。

………んん?



「は、班長…っ?」



これは、その。
どういう状況…っ?

背中を向けていたから、背後から抱きしめられる形で。
すとんと私の体は呆気なく、班長の膝の間に落ちてしまっていた。



「…ジ…じゃない」

「っ…はいっ?」



耳元にかかる息。
顔は見えないのに、背中から覆い被さるように全体を包む体温に顔に熱が集中する。



「ジジの、じゃない」



ぽつぽつと囁かれた言葉は、どこか覚束無くて。
でも、はっきりと班長はその言葉を口にした。



「俺の、…だから」



ぎゅっと腰を抱く腕に力がこもる。
酔ってるせいかどこか掠れた熱のこもった声に、耳元で囁かれてぞくりと背中が粟立った。

どうしよう。
どうしよう、これ。
前に徹夜明けで寝落ちた班長と同じだ。

班長、寝惚けると抱きしめる癖あるんですか…!?



「わ…私は、ちゃんと班長の部下ですよ。だからお水、飲みましょう」



やっぱり酔ってるんだ。

素面の班長なら絶対しない行為に、心臓がバクバクと脈打つ。
でも大きな声を出せないのは、周りには潰れてる皆がいるから。
こんな状況を見られたら、また盛大にからかわれる。



「…ん、」



掠れた声で班長が返事をする。

よかった、聞いてくれる。
そう安心してしまったからか。



「ぁっ…?」



予想もしていなかったその感触に、思わず声が上がってしまったのは。



「ん、ちょ…は、班…っ?」



首の後ろ。
項に触れる、柔らかい何か。
それがなんなのか、熱のこもった吐息を感じてすぐにわかった。



く、口…班長の口が、首筋に当たってます…ッ!

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