第34章 みんなの宴
結局泣き続ける室長も交えて、飲み会は再開されることとなった。
でもコムイ室長のおかげで、私は泥酔二日酔いコースからどうやら間逃れたみたい。
助かった。
「だからさぁ、リーバーくんは僕に冷た過ぎるんだよ!もっと優しくしてくれたっていいじゃないか!」
「はいはい、すんません。はい飲んで」
「それがよぉ、バク支部長がまた迷子になってよ。一日中、探索する羽目になったんだぜ」
「ははっ相変わらずだなー、そっちの支部長も」
「じゃ、次イッキしまーす!」
「馬鹿、それはやめとけって!また潰れるぞ!」
泣き上戸のコムイ室長に、付き合いながら酒を酌み交わすリーバー班長。
バク支部長の愚痴を零すジジさんを、ロブさんが聞いてあげて。
ボトルごと飲もうとするタップを、マービンさんが止める。
相変わらずの、どんちゃん騒ぎ。
皆思い思いに好き勝手飲んでいて、何処もかしこも騒がしい。
こういう時、自分に被害が回ると色々と大変だけど。
…こういう光景を見ているのは、割と好きだったりする。
「何がおかしい?」
「え?」
かけられた声に、顔を上げる。
誰よりもお酒を飲んでるはずなのに、相変わらず涼しい顔したクロス元帥と目が合った。
「顔がニヤけていたからな」
「あはは、いえ…」
うわ、顔に出てたみたい。
恥ずかしくなって、思わず取り繕うように笑ってしまう。
「ええと…こういうのって、あれですよね。何気ない日常?って言うのかな。当たり前にあって、でも当たり前じゃなくて。凄く大切な時間だと思うんです」
千年伯爵との聖戦の為に作り上げられた組織。
エクソシスト総本部、"黒の教団"。
そんな職場だから、死も当たり前に近くにあって。
そんな職場だから、悲しみに暮れることも多い。
だからなのか。
科学班の皆はいつもこんなふうに騒がしくて煩くて、馬鹿みたいなこともよくやってる。
それは時々、傍迷惑で。
それは凄く、私の支えになってる。