第34章 みんなの宴
暗い任務で多少落ちていた気持ちも、こうして皆と過ごすだけで元気を貰える。
言葉じゃなく、存在だけで貰える笑顔。
意味もなく馬鹿なことをして笑い合うこと。
それはきっと凄く大切なことなんだ。
永遠なんて簡単には信じられないけど、こんな時間がずっと続けばいいのにって…そう思ってしまわずにはいられない。
「それを感じながら、お酒飲んでると…美味しいんですよね。いつもより」
「…それは酒の肴か?」
「まぁ、そんなものかもしれないです」
グラスに入った、琥珀色のアルコールを口に含む。
ゆっくり咥内で堪能しながら、飲み込んでいると。
「成程、悪くない」
同じくワインを口にしながら、クロス元帥は静かに笑った。
その目は優しく、私を見て。
「馬鹿弟子は、中々に見る目がある」
するりと、その手が一度だけ私の髪先を撫でた。
馬鹿弟子と言いながら、でもその口調は柔らかい。
アレンにも聞かせたかったなぁ、なんて感じながら。
微笑む元帥につられて、私の顔にも笑みが浮かんでいた。
騒がしくて迷惑で問題が絶えなくて。
でもそんな彼らの傍が、私の大切な"日常"なんだ。
そう、感じながら。