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科学班の恋【D.Gray-man】

第34章 みんなの宴



クロス元帥程の方がいようとも、すぐその場の空気を独自に染めてしまう。
それが我が科学班の長所でもあり、短所でもあると思う。



「では、一番タップ!脱ぎまーすッ!!」

「いいぞー!やれやれ!」

「うえ、見たくねぇよ!やめろーっ」



ベロベロに酔ったタップが、高らかに宣言して脱ぎ始める。
四方八方からは酔った研究員の歓声とブーイングの嵐。
…うん、いつもの飲み会。
いつもこんな感じで、最後グダグダになるんだよね…。
女性としては若干退くような場面も幾つかあるけど、悲しいかな。
もう慣れてしまった。



「グラスが空いてるぞ」

「あ、すみませんっ」

「違う、お前だ」

「え?」



結局、私はクロス元帥の酌をする羽目になっていて。
慌てて注ごうとすれば、私のグラスを指差される。



「自分の祝い事だろう。飲め」

「ど、どうも…」



逆に注がれて、ありがたく貰う羽目に。
こうして関わると、お酒の力も借りてなのか…元帥って存在が身近に感じるなぁ。



「にしても、このワイン美味しいですね」

「俺が見立てたやつだからな」

「えっ!じゃあ、凄く高いんじゃ…」

「教団で買える値段だ、安心しろ」



変わらぬペースで飲む元帥。
その顔色は一切変わっておらず、だからなのか。
私もついついワインが進んでしまう。

…結果。



「………」



…なんか、頭がふわふわしてきた…。



「大丈夫か?顔、赤いぞ」

「あ、班長。大丈夫です」



伺うように、隣から覗いてくるリーバー班長。
笑って返せば、どことなく曖昧な表情で返された。
そんなに顔赤いのかな…。



「じゃ、次王様ゲーム!ゲームする人ーっ!!」

「はいはーい!」

「王様ゲームって、幾つだよお前ら」



相変わらず、どんちゃん騒ぎは続いている。
そんな騒ぎを見守りながらワインを口に運ぶ。
平和だなぁ……あれ?



「…平和だ」



いつもの飲み会なら、騒ぎに強制参加させられて揉みくちゃになってるはずなのに。
こんなふうにお酒を味わう余裕があるなんて。



「なんだ」

「…いえ」



思わずクロス元帥を見上げる。
もしかして存在だけで威圧感を漂わせるこの人がいるから?
…あんまり近付きたくないもんね。

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