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科学班の恋【D.Gray-man】

第34章 みんなの宴



「ここには、ないようだが」



くい、とワイングラスに入った赤い液体を煽る。
ラビよりも真っ赤な髪は無造作にあちこち跳ねていて、その長い髪から覗く眼鏡の奥の瞳は、射抜かれそうな程に鋭い光を称えていた。

…というか。



「…クロス…マリアン、元帥…?」



なんでこの人が此処にいるの…!?



「ジェリーに聞けば、酒は全部ここだと言われてな。飲みに来ただけだ」



いえ、あの。
確かにクロス元帥は教団内でも、特に酒好きだと有名だけれど。

何処から持ってきたのか。
高級椅子に長い足を組んで座り、ワイングラスを片手に悠々と応える。
彼は貴重なエクソシストの中でも、更に"元帥"という上の名を持つ実力者。
そして実力と共にその性格も、色々とズバ抜けてて凄い人。

クロス・マリアン元帥。

…私には、ほとんど面識がない人。



「く、ククくクロス元帥!?何故此処に!?」

「吃驚した…!ここ、元帥の好む高いお酒ありませんよっ!?」



案の定、科学班の皆も物凄く驚いていた。
うん、出羽桜って確か…凄く高い貴重な日本酒だったよね。
高級酒を好む元帥に、此処は凄く場違いな気がするんだけど…。



「酒は女に酌されてなんぼだろ。ん、」

「………はい?」



そう言って、クロス元帥が差し出したのはワインボトル。
持たされたのは…え?

私?



「クラウドは任務でいねぇし、リナリーじゃコムイが煩いからな。意外な所に代役がいたもんだ」



射抜くような目が私を見下ろす。
見られてるだけなのに、変な圧を感じて思わず固まった。



「名前は?」

「え?は、はい…椎名南…あ。南がファーストネームでして…」

「南か。頼む」

「あ、はい」



差し出されたワイングラスに、反射的にワインを注ぐ。



「何やってんスか…」



そこに呆れたような声が届く。
見れば、席を立ってきたリーバー班長がいた。

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