第33章 未熟な想い
「全く、エクソシストだけならまだしも。仕事中毒者も体を酷使するんだから」
「す、すみません…」
「謝るならきちんと診せに来なさい。ほら、ちゃんと胸見せる!」
「は、はいぃっ」
医務室の一角。
カーテン越しに聞こえてくる、婦長の怒鳴り声と南の情けない声。
気の毒には思うけれど、今回ばかりは仕方ない。
諦めろ、南。
「南さんも、こっぴどく怒られてますね…」
「相変わらず怖ぇーさ婦長…」
うわぁ、という声を漏らしながら呟くのは、先に来ていたアレンとラビ。
どうやら二人も、うるさく婦長に言われて医務室に連れて来られたらしい。
「リーバーさんもお疲れ様です」
「まぁ…無視はできなかったからな」
「でも、ま。そこまで酷い怪我じゃないから大丈夫さ」
アレンに苦笑混じりに返していると、カーテンを見つめたまま呟いたラビの言葉に、ふと引っ掛かる。
怪我の具合を知ってるってことは………見たのか?
まさか。
「出血は結構ありましたけどね。僕はよく見てないけど…」
「うん、まぁ…」
そういえばと思い出すように言うアレンに、ラビは歯切り悪く応えて、その目はふいと逸らされた。
…顔、なんか赤くないか。
何を思い出してんだ、それ。
やっぱり見たのか。
まさか。
つい問い掛けたくなったが、そんなこと聞けるはずもなく。
「…それじゃ俺は仕事に戻るから。二人も、ゆっくり休めよ」
南を待っていたかったが、残してきた仕事量を考えるとそれもできず。
仕方なく二人に声を掛けて医務室を後にした。
「───なぁ、」
声をかけてきたのはラビだった。
医務室を出た廊下で振り返ると、追いかけてきた足を止めてどこか迷うように口を閉じる。
なんだ?