第4章 オレの好きなひと。
そしてこの気持ちを自覚すると共に、オレはこの恋を諦めた。
理由はある。
南が他の相手を想っていたから。
人間観察は得意な分野で、南をよく見ていたらすぐに気付いた。
南が誰を見てるかってことくらい。
オレとは違う、極々普通の科学班の人間。
大人で部下思いで仕事熱心な、オレとはまるで正反対な人物さ。
でも、だから良かったんだと思う。
オレがこの黒の教団に身を置いている間は、遠慮なく南を好きでいようと思えたから。
どうせ実ることはねぇんさ。
なら少しくらい我儘やったっていいだろ?
"南の中に、オレという人物が少しでも残ってくれるなら"
オレはそれだけでいい。