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科学班の恋【D.Gray-man】

第28章 AKUMAと悪魔



人が人を食らう。
比喩的表現ではなく、物理的な意味で。
法律の存在するこの世では、それは非道徳的な行いとされている。



「誰が悪魔だとか。そんなこと、どうでもいい」



最悪な結論に息を呑んでいると、アレンの静かな声がその空気を壊した。



「今すべきことはAKUMAの魂の救済。それだけです」

「救済?ワタシを救ってクレルの?」

「アレンには悪いけど、オレにはファインダーの仇なだけさ」



アレンの隣に立ち、鉄槌を肩にかけたラビがコキ、と首を鳴らす。



「それでいいだろ」

「…構いませんよ」



二人の視線はAKUMAに注がれたまま。
お互いに了承を得て、戦闘態勢に入る。



「南とトマは離れてろ」

「はい。椎名殿、」

「は、はいっ」



ラビに言われるままその場から離れる。
相手のAKUMAのレベルはわからないけれど、決して安心して見られるものじゃない。
というかAKUMAとの戦闘なんて初めて見るから、どこまで離れていれば安全なのかもわからない。



「大丈夫かな…」



岩場に隠れて、そっとラビ達を見やる。



「大丈夫ですよ。あのお二人は強いですから」



不安げな雰囲気が出ていたのか。
隣でトマさんが気遣うように、優しく応えてくれた。



「殿方二人を相手すルのは嬉しいケド…アプローチは一人ずつお願いデキナイかしら?」

「じゃあ僕がお相手します」

「いーや、一度とどめ刺し損ねてるし。オレがやるさ」



確かにトマさんの言う通り。
AKUMAと戦う二人の動きは見事なものだった。

細長い針のような爪を自在に操って、繰り出されるAKUMAの攻撃。
それをすんでのところで避けながら、交互に反撃を仕掛ける。
時折喧嘩もする二人だけど、こうなると息はぴったりだった。
初めて見た、こんな二人の姿。



「もう、仕方ないワネ。それなら此方も二人でお相手スルわ」



そう呟いたかと思えば、AKUMAの指先が器用にしなる。
瞬間、AKUMAに左腕を振り下ろそうとしていたアレンの目の前に、死んだはずの村長さんが飛び出してきた。

違う。
まるで何かに引っ張られるように、遺体のまま飛ばされたんだ。

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