第27章 真相
「此処らで生きてる人間なんて、この村にしかいない。あのAKUMAが言ったことが正しいなら、殺しを頼んだのも遺体を受け取ったのも…あんたらじゃねぇの?」
どこか確信めいたラビの言葉に、皆が息を呑む。
「…ラビは、そのAKUMAの言葉を信じるんですか?」
そんな中、静かに口を開いたのはアレンだった。
困惑しながらも、その顔は顰められている。
そうだよね。
AKUMAは人を殺すための悪性兵器。
そこに善意の気持ちはない。
───でも。
「…ごめん、アレン。私も…ラビの言葉は、一理あると思う」
「…南さん?」
ぎゅっとファインダーのマントを強く抱く。
ラビの肩を持つ訳じゃない。
ただ、私も感じたことだったから。
「あの地下室で、見たんです」
明確な証拠なんてない。
あの時見えた光景も、ただの幻覚かもしれない。
だけど。
あの時、確かにはっきりと見えた。
すまないと謝りながら、男の子に刃物を振り下ろしていたのは───
「……まだ、生贄を捧げる儀式は、続いているんじゃないんですか…?」
この、村長さんだった。
「…何を、馬鹿なことを」
一瞬驚いたように押し黙った村長さんは、次にはもう優しい笑みを浮かべていた。
「あれは何十年も前に廃止された儀式です。もう行われていない」
確かに村長さんの言う通り。
否定されてしまえば強くは言えない。
「なら…クロル君って子、知りませんか?」
「…クロル?」
「男の子です。10歳くらいの…黒髪黒目の色白の」
おずおずと別の質問をしてみる。
村の子達はクロル君を知っていた。
それなら、村の長である彼も知っているはず。
知らないならそこで矛盾が生じるし、知っているならクロル君について聞くことができる。
「…その名前は、誰から聞いたんですか?」
でも村長さんの反応はどちらでもなかった。
優しく問い返され、思わず圧される。
笑ってるけど…何故か、笑ってないように見えて。